HOME > オペラ・クラシックコンサート便り > マリインスキー劇場管弦楽団公演《ランメルモールのルチア》

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


ナビ1ナビ2ナビ3ナビ5
ナビ4ナビ6

マリインスキー劇場管弦楽団公演《ランメルモールのルチア》(演奏会形式) 

(2012年11月12日サントリーホール)

武田雅人

ワレリー・ゲルギエフが率いるマリインスキー劇場管弦楽団公演が、11月8日から18日にかけて、南は熊本から北は札幌まで日本各地で行われています。11日間に10回の公演というタフなスケジュールで、全ての公演をゲルギエフが振るとのこと。現代有数のカリスマ指揮者である彼が目玉の公演ですから、当然といえば当然ですが、その超人的なスタミナには毎度のことながら驚かされます。
 ひと世代前のカリスマ指揮者、カルロス・クライバーなどが聞いたら目を回しそうですが、呼び屋さんにとっては何ともありがたい存在に違いありません。
 今回のツアーでオペラの演奏はこの1日のみ。しかも、今を時めくナタリー・デセイが主演ですから、サントリーホールは満員の盛況でした。

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団
合唱:新国立劇場合唱団
グラス・ハーモニカ:サッシャ・レッカート

ルチア:ナタリー・デセイ
エドガルド:エフゲニー・アキーモフ
エンリーコ:ウラジスラフ・スリムスキー
ライモンド:イリヤ・バンニク
アルトゥーロ:ディミトリー・ヴォロバエフ
ノルマンノ:水口聡
アリーサ:ジャンナ・ドムブロスカヤ

 最近世界の主要歌劇場での活躍が目ざましいデセイですが、私がナマで聴くのはこれが初めてです。第一印象は、リリコ・レッジェロ系のソプラノとしては普通の声だな、という感じでした。サントリーホールという響きのよい場所でありながら、グルベローヴァのように声そのものが華やかに広がるわけでもなく、デヴィーアの直進性や、セッラの透明感のような個性のある存在感は感じません。
 それでも、テクニックや表現力はこれら先輩歌手たちにひけをとるものではなく、アクート(超高音)が抜群の安定感をもち、衣裳をつけた本舞台では演技力という武器も加わることを考えると、メジャーな舞台で重用されていることは納得できます。
 ただし、昨年のMET来日公演で聴いたディアナ・ダムラウのルチアと比べると、いささか地味な印象は否めませんでした。もちろんダムラウの方は、衣裳をつけた本舞台で、ジマーマンの個性的な演出に助けられていた、という面もあるとは思います。

 今回の公演の「狂乱の場」は、METの時のような「狂気」と「女の執念」に特別の焦点をあてた演奏ではなく、オーソドックスなプリマドンナ・オペラのそれでした。
 その中で、ひときわ印象に残ったのが、サッシャ・レッカートによるグラス・ハーモニカの演奏です。演奏会形式なので、舞台の最前列で演奏している様子がよく見えたのですが、MET公演で使用されたベンジャミン・フランクリン考案のグラスを横に重ねて電動式のシャフトが回る「アルモニカ」とは異なり、タテ型のガラスの筒がマリンバの共鳴管のような形で並んでいて、奏者は上面のグラスの縁を水をつけた指でこすって音を出します。
 METの公演では、ゆっくりしたメロディーの箇所のみアルモニカで演奏し、ソプラノと掛け合いになる速いパッセージのカデンツァはフルートが担当していましたが、レッカートの場合は、驚いたことに速いパッセージも目まぐるしく手を動かして全部弾いてしまうのでした。フルートさんは出番なし、です。
 タテ型の楽器のは、グラスが3列に並んでいて密集度が高いので、1列のヨコ型よりも対応はしやすいのかもしれませんが、それにしても見事な手さばきでした。


レッカートの楽器レッカートの楽器MET使用のアルモニカMET使用のアルモニカ
 ドニゼッティが初演で意図した(実際には劇場側と奏者の契約問題がこじれてフルートに置き換えられた)グラスハーモニカの演奏形態はどちらだったのかわかりませんが、ガラスが振動するクリアながら少しピリピリとした神経症的な音色が、狂気の場面にはよく合います。

 デセイ以外のソリストは、水口をのぞくと全て旧ソ連圏出身でマリインスキー劇場で育てられた歌手たちですが、これまでの同劇場来日公演に出演したソリストたちに比べると少し小粒であるように感じました。演奏会形式の場合は、オケも同じ舞台の上で演奏するため、どうしても音量的に歌手が非力にみえてしまうということもあったかもしれません。
 エドガルド役のテノールはプログラムに掲載されていたセミシュクールが体調不良で来日中止となり、急きょ代役となったアキーモフ。1996年からマリインスキー劇場のソリストをつとめているというから既に中堅というべき歌手。パヴァロッティ並みの巨体に似あわぬレッジェロの優しい声で、張るところでは結構声量もあるようなのですが、歌い方がひたすら柔らかく、有名な6重唱の場面などではいかにも逞しさが足りず、物足りない気がしました。最終幕のアリアは悪くなかったと思います。
 バリトンのスリムスキーは様式感も確かで声もまずまず力強いものを持っていて、第1幕冒頭のアリアなどはなかなか聴かせてくれましたが、6重唱の歌い出しはアキーモフに合わせたのか、やはり怒っているようには見えない優美な歌い方。もしかしたら、ゲルギエフの指示なのかもしれませんが、いくらベル・カントであるからといって、結婚式に彼氏が乱入する場面をあのように優しく始めるのは私の好みには合いません。
 フィナーレのストレッタではぐっと白熱して煽り立てたゲルギエフの指揮ぶりや、ルチアの歌が加わってからは徐々に緊張感が高まったことから判断すると、指揮者の指示というよりもやはり歌手の資質によるものだったのでしょう。

 ゲルギエフの指揮は、さすがです。定評あるロシアものはもちろんのこと、イタリアものも、これまでヴェルディ、ロッシーニなどを聴いてきましたが、今度はドニゼッティ。本当に何を振らせてもうまい、といえます。特に上述した第2幕フィナーレの部分などは、ドニゼッティの中でも最上の音楽を堪能させてくれ、興奮することができました。
 しかしながら、全体としては、心なしか、手兵のオケのわりには、いつもの異常なほどの緊張感と切れ味がなかったようにも感じられます。もしかすると、大分、熊本、大阪、福井と休みなしに転戦してきた疲れもあるのかもしれません。
 最初はノーバトンで振っているのかと思いましたが、よく見るとボールペンより短いくらいの小さいタクトを右手の人差し指と親指でつまんでいます。それにより細かい表情を指示しているのでしょう、他の3本指がひらひら動くので、10本指で振っているかのように見えたのでした。







愛媛4区 桜内ふみき 公認会計士サイト運営者は桜内ふみき氏をサポートしています



人間力★ラボ



「人間力」エピソード





ナビ1
ナビ2
ナビ3
ナビ4
ナビ5
ナビ6


芦川淳氏   自衛隊vs.人民解放軍 我らもし闘わば
芦川淳氏   原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた!
芦川淳氏  沖縄の基地問題など、国防を考える3
田代秀敏氏 「混沌の大国」中国と中国人を知る

神保哲生氏  今更なんですが、「ジャーナリズムとは一体何なのか」
三神万里子氏 メディアの「情報信頼性評価基準」を考える

山田恭路氏 自然派ワインに首ったけ
川村武彦氏+山田恭路氏 「天才の国」イタリア自然派ワインの真実


野中郁次郎氏 ナレッジ・ワーカー育成講座
本間正人氏  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか
三ツ谷 誠氏  市場、個人およびカイシャの一般法則
織田聡 氏   カイシャ文化の現在を問う

「国ナビ」で作った予算対案を衆院本会議に提出/桜内文城 氏
竹中平蔵氏  なぜいつまでたっても「改革」できないのか
中林美恵子氏 アメリカ議会に見る「機能する立法府」のあり方
瀬口清之氏  パブリックマインドとは何か

小西達也氏 「チャプレン」という仕事 ヴェルディ&ワーグナー生誕200年 記念座談会
爆笑座談  オペラ愛好家とはいかなる人種か?
METを観たら、METを読もう!
2013年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2010年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2007年夏のヴェローナとマチェラータ音楽祭/武田雅人
偏愛的オペラ談義

ネット起業! あのバカにやらせてみよう
ベネチア貿易船復元計画
江戸城再建計画
『日本の借金』時計への勝手リンク
12-13イタリア旅行
11ヨーロッパ紀行
04ヨーロッパ紀行
02ヨーロッパ紀行
フィリピン有情
佃点描
ぼくはこんな記事をつくってきた
余は如何にして編集者となりし乎
雑誌づくり講座

4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2014
4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2010
日本のサービス、ここが間違ってる
爆笑! 四酔人サイト問答
女子大生版「日本のカイシャ、いかがなものか」 丸山真男と日本の外骨格
藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
金融工学は製造物責任の夢を見るか?
酒飲みの「旅行話」
台灣好好 日本よりも日本らしく
さる名門女子大における恋愛論講義
人間力営業
「人間力」101本勝負メールマガジン
「人間力」とは、大人になることと見つけたり

最後に勝つのは「新日本人」だ
「新日本人/旧日本人」モデル
「新日本人」論 対話篇
「カイシャ主義」に挑戦! “オープンソース型ビジネスマン”の生きる道


誰が神を殺すのか
構造改革とは意識改革である
現代都鄙問答
一億総中流の倫理崩壊
完成! 「新日本人ルネサンス論」
日本人の田舎者意識の精神史的地位

鈴鹿市の見える歯科治療・歯科CT 仙川駅前の皮膚科・気管支ぜんそく 長引く咳  東京都 高輪矯正歯科・八重歯  税理士法人浅野会計 名古屋市の相続承継・会社設立 ひかり歯科 千葉のキッズ予防歯科 スタッフ 匝瑳市 デリバティブ 仕組債・仕組預金の商品分析に関する解説 他社株転換債 社員研修 マナー研修 身だしなみ愛西市近くの審美歯科

銀座の老視矯正 コンタクトレンズ制作眼科豊田市にある内科・点滴・相談漏斗胸・胸郭変成の外科治療専門サイト千葉市 心療内科・椿森・うつ医療ホームページ/クリニック/医院/診療所の集患増患コンサルなら

金沢区/内科 かぜ国立市/内科 糖尿病治療 中央線介護の管理者/アルバイト/パート|三重県鈴鹿市・安心シンプルな手術法、漏斗胸治療デザイナー求人戸塚クリニック 横浜市戸塚区 内科笹塚 メガネは眼科で相模原市南区の内科 動脈硬化

鶴見区/整形外科 リハビリ科浜松市/ALTA療法 痔の相談 薬物療法青森市役所横/横内耳鼻科医院開業セミナー
大阪市の肛門科専門医取得・静脈瘤治療・内視鏡検査アルタ療法講座 治療概念町田駅近くのたむら整体院サイト 顎痛松山の漏斗胸治療・救急科案内ル・サロン 柿本葛西駅/整体 頭蓋オステパシー 相談怪我やヤケドなら形成外科へ