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2010年夏ヴェローナ観劇記 8月12日(木)《カルメン》

武田雅人

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8月12日(木)《カルメン》

カルメン:カースティン・チャベス
ドン・ホセ:カルロ・ヴェントレ
ミカエラ:シルヴィア・ダッラ・ベネッタ
エスカミーリョ:デヤン・ワチコフ
フラスキータ:カルラ・ディ・チェンソ
メルセデス:ミレーナ・ヨシポビッチ
ダンカイロ:ファビオ・プレヴィアーティ
レメンダード:ジャンルーカ・ボッキーノ
スニガ:ヴィクトル・ガルシア・シエラ
モラレス:ジョルジョ・フェレンティ

指揮:ユリアン・コヴァチェフ
演出・装置:フランコ・ゼッフィレッリ
衣装:アンナ・アンニ(マリア・フィリッピ)
振付:エル・カンボリオ(ルチア・レアル)

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 この日は、オペラの前に、これも恒例になっている市内の二つ星レストラン「イル・デスコ」での食事。欲張って、赤ワイン(Allegrini “Amarone”2003)1本の前に白ワイン(Anselmi“San Vincenzo”�jのハーフボトルまで飲んでしまったので、すっかり酔っ払い、酔眼朦朧状態でオペラを観ることに。
 日本を発って5日目ですから、時差ボケは既に気にならなくなっていたはずですが、不覚にも途中でかなり眠りました。どんな体調であっても、ヴェルディ作品では滅多に眠くならないのですが、《カルメン》はどうも心地よく眠りつけてしまいます。特に、ミカエラが出てくる場面がダメですね。ほとんど覚えていません。ということで、ダッラ・ベネッタについては、論評できません。

 この日のミカエラと翌日のリューの役は、印刷されたプログラムの上では、フィオレンツァ・チェドリンスが歌うことになっていました。しかしながら、実際には両日とも、ダブル・キャストのもう片方の歌手が歌いました。チェドリンスは不調なのかもしれません。彼女は昨年もリューでしたが、2002年にはアイーダを歌っていた歌手が、最近はリューやミカエラになってしまった、というのがよくわかりません。ミレッラ・フレーニとは逆のパターンです。mimitalyさんという人のブログによると「最近激ヤセして、声もどこかに消えてしまったかのよう」とのこと。心配です。
 主役のカルメンを歌ったチャベスは、既に東京でもカルメンを歌ったことがあるそうですが、私は今回初めて聴く新進気鋭のメッゾ・ソプラノです。直進性のある強い声で、華やかさもありますが、声質はソプラノに近い明るいものなので、カルメンとしての色っぽさは、もっぱら恵まれた容姿とセクシーな演技によって表現されていました。長いスカートの裾をたくしあげて素足の足を見せびらかすシーンが何度もあります。西洋の男は女性の足に性的な魅力を感じる度合いが強いのだそうで、特に靴をはかない素足というのはセクシーなもの、というお約束になっているようです。

 ウルグゥアイ生まれのテノール、ヴェントレは、06年のカターニア来日公演、07年のマチェラータ音楽祭で《ノルマ》に出演したのを聴いています。その時にはポリオーネとしてはやや軽いという印象があったのですが、声の逞しさも増してきたようで、この日のドン・ジョゼ(以下、オペラで歌われるフランス語式にジョゼと記述します)は、はまり役という感じが強くしました。スペイン語系としてフランス語の発音もクセがなく滑らかで、アリア<花の歌>は、情熱的でありながら節度もある、綺麗な歌いぶりだったと思います。
 ブルガリア出身のワチコフは、アレーナのホームページではBassoとして紹介されています。経歴をみるとドン・バジリオ、ティムール、ライモンドなど確かにバスの役が多いようですが、ドン・ジョヴァンニ、オベルトなどもやっており、いわゆるバッソ・ブリランテあるいはバス・バリトンという範疇の声のようです。すらりとした長身で、柔らかい声。ルッジェロ・ライモンディほどの深みはありませんが、似たタイプの声といえましょう。
 ドン・ジョゼとのナイフによる決闘シーンで、羽織っていたマントをぐるぐると左腕に巻きつけたところまではいいのですが、右手を腹帯にさしこんでもナイフが出てきません。忘れてきたのでしょう。それでも少しもさわがず、突っかかってくるジョゼを左手一本で闘牛のようにかわしながら、山賊たちの留めがはいるまで、うまくしのぎきりました。ヴェントレの方も勝手がちがったでしょうが、とっさにうまく合わせたようです。ハプニングに気がつかなかったお客も多かったと思います。


名称未設定10.jpgゼッフィレッリの装置は、舞台中央に白い大理石(に見える)の大きな円形の広場があり、その周りを、何本もの高さ約10m、幅約3mくらいのタテ長の布のスクリーンが取り囲んでいます。このスクリーンには描かれたポスター調の絵は、幕によって変わります。
 2002年に見た時は、この広場を取り囲むすり鉢状の石段に、セヴィリアの町並みや遠景の岩山が飾られていたのですが、今年は経費節減のためか、石のスタンドには何も置かれていません。広場の左右の端からはスロープがらせん状に徐々に低くなりながら舞台裏に周りこんで消えています。ここを本物の馬や大勢の人々が駆け上がりまた去っていくという形でダイナミックな動きが生まれます。とにかく大勢の群集が有機的に動くさまは、ゼッフィレッリならではのものでしょう。
 《イル・トロヴァトーレ》の時よりも馬の数はずっと多く、闘牛士のパレードの場面などでは、ピカドールを乗せた馬が10頭近く連なって現れては消えるというセットを3回くらい繰り返します。ヴェローナでは、《アイーダ》の凱旋シーンでよく馬が登場するのですが、ゼッフィレッリの《アイーダ》ではこのパレードがありません。ピラミットが大きすぎて、馬を出すスペースがとれなかったためでしょう。騎馬の人物がそのまま出入りできる大きな出入り口は、正面スタンド後方にしかないからです。
 かなりのスピードで出入りする馬は、騎乗の人が手綱をとるのみで、轡をとる人はついていません。大音量の音楽が鳴る中を整然と行進する馬たちは、相当訓練されたサーカスの馬なのでしょう。特に一頭、すばらしいステップを踏む馬がいて、舞台袖にとどまり、馬上のピカドールが持つ槍の先を地上のフラメンコ・ダンサーのひとりがつかむと、その周りを馬が回りながらダンサーと手をとりあっているかのような円舞を踊ってみせたのには驚きました。

 エル・カンボリオの振り付けによるフラメンコ・ダンサーの一団が、要所要所で演技にからみ、時にはカスタネットと手拍子で音楽にも絡んで、独特の効果をあげるところは、《イル・トロヴァトーレ》と同じ手法です。《アルルの女》からの曲など、本来の《カルメン》にはない舞曲が演奏されてダンスの見せ場を作る点も同じですが、ビゼーの場合は、このようなミックス版の《カルメン組曲》がよく演奏されることがあるので、あまり違和感はありません。

この日は、第3幕の終わり近く、ジョゼとエスカミーリョの決闘にダンカイロたちの留めが入り、ミカエラが登場してきたところで、雨がポツリと来ました。すぐにオケの音が止まり、弦楽器の人たちが逃げ始めます。ヴェローナのオケピットでは、出口に一番近い、向かって左側の前列にチェロが並んでいますが、これは、こうした場合のための対策なのでしょう。ヴァイオリンやヴィオラの人たちは、天候があやしい日には、足元に楽器ケースを置いていて、ポツリと来るとまずは楽器をケースにしまい、おもむろに退避することができます。おおきなチェロは、席にケースを持ち込むことができないので、雨が来るやいなや、楽器をかかえて我先にと前の通路に飛び出すのです。
 ここのピットは浅くて、客席との間に固定柵はなく、ロープが張ってあるだけです。もともとピットの地下には出入り口がなく、オケの人たちは、客席最前列の通路を通って舞台袖のスタンド席の出入り口から退場するのです。
 ハープの人は、ひとりで持ち運ぶことができませんから、まずはカバーをかけて搬送係の人たちが来るのを待ちます。水気に強い金管はのんびりと最後に退場しますが、とにかくあっという間にオケピットはカラになり、手持ち無沙汰になった歌手たちが舞台上に残されて、客席に向かって手を振ったりしています。そのうちに場内アナウンスが始まり、「楽器を保護するために演奏を中断します」と告げ、歌手たちも引き揚げます。

 しばらく空の様子を見ますが、雨は本降りにならずにいったん止みます。「第3幕の残りの演奏は取りやめ、このまま15分間の休憩に入ります。休憩後は第4幕から再開します。」とアナウンスがあり、舞台上では大道具の転換がはじまります。空には雲もありますが、星が見えているところもあり、微妙な天候です。
 はらはらしながらも4幕が始まり、闘牛士たちをむかえる賑やかな合唱となります。舞台中央には大きな十字架が立ち、司祭がやってきて祈りを捧げたりします。やがて潮が引くように群衆がいなくなり、舞台上にはカルメンとジョゼだけが残ります。
 風が強くなり、舞台奥の布のスクリーンが外れて落ちたりしはじめますが、歌手たちは歌唱と演技に集中しています。吹き荒れる風とマッチするような激しいやり取りがあり、カルメンが指輪を抜いてジョゼに投げつけたところで、また、ポツリ。あともう少しなのに。無情にもオーケストラは止まってしまいました。

 結局、今度は雨が本降りになる様子を見せ始めたため、そのまま公演は中止になりました。






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