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フェニーチェ歌劇場来日公演《アッティラ》を聴いて

(2005年5月14日 オーチャードホール)

武田雅人

 ヴェネチアのラ・フェニーチェ劇場が焼失したのは1996年1月のことでした。その頃私はニューヨークにいて、ジュリアード・スクールの成人学級で、オペラ指揮者ヴィンセント・ラ・セルヴァ先生による「ヴェルディのオペラを聴く」というコースを聴講していました。
 ちょうど《アッティラ》が授業でとりあげられていた頃に、この悲しいニュースが入ってきたのを覚えています。焼失前の美しいフェニーチェ座で、1991年の夏に1回だけオペラを観ました。その時私どもが聴いたのは《シモン・ボッカネグラ》でしたが、その直前にスカラ座で《アッティラ》を観たのでした。

 このように、ヴェネチアと《アッティラ》は、私にとってもなにかと縁があるですが、フェニーチェ劇場が、再建後初の来日公演で《アッティラ》を選んだのは、このオペラが《椿姫》と同様に当劇場で初演された作品であること、劇中の合唱に『廃墟の中から不死鳥(フェニーチェ)のように立ち上がる』という歌詞があること、ヴェネチアという類まれな海上都市が生まれたのがフン族の侵入に始まる民族大移動にローマ系の住民が圧迫された結果であったこと、などの所縁(ゆかり)によるものではないか、と思われます。
 今回の来日公演では、中島康晴の凱旋公演となる《真珠とり》、ロバート・カーセンの斬新な演出で話題を呼んだ《椿姫》もそれぞれ惹かれるものがありましたが、私はためらわずに、まずこの《アッティラ》のチケットを買い求めました。(チケットを手配した昨年秋頃には、筆者が本年4月からジャカルタ駐在となることなど予想だにしていませんでしたが、結果的には、ひとつの演目に絞っておいて正解。週末を利用してのトンボ返り帰国での観劇となりました。)
 このオペラは、《エルナニ》と《リゴレット》という傑作の狭間に位置し、当時売れっ子になったヴェルディが粗製濫造した「2流の作品群」のひとつ、と通常みなされており、上演機会が少ないものです。しかしながら、私にとっては、初期ヴェルディの中でも《ナブッコ》《マクベス》と並ぶ大好きな作品のひとつ。血沸き肉躍る雄渾な旋律と響き、洗練された雄叫びともいうべき歌の数々は、歌手に恵まれたときには、本当に凄い興奮が味わえるオペラであると思います。

 上演機会が少ないもうひとつの理由は、オダベッラ役を歌える歌手がなかなかいない、ということがあると思います。この点、今回はなんと言っても、これをディミトラ・テオドッシュウが歌うということが注目されました。テオドッシュウは、2003年7月のカターニア大劇場来日公演《ノルマ》で既にその実力を発揮していましたので、今回、ノルマと同じタイプ、すなわちソプラノ・ドランマーティコ・ダジリタというべき声が要求されるこの役についても、楽しみにしていたファンは多いと思います。そして、その期待にたがわぬ素晴らしい歌唱を聴くことができました。
 同タイプにおけるギリシア系のふたりの偉大な先輩、マリア・カラスとエレナ・スリオティスに比べると、テオドッシュウには、アジリタ(装飾歌唱)のキレはありませんが、声の強さ、威力は十分であり、心理的な陰影や情感の表現力ではスリオティスよりはまさっている、といえましょう。
 序幕(プロローグ)のオダベッラのアリア『汝らの戦士たちが獅子のごとく剣をふるうとき  再びわが手に、剣よ、おまえが戻った』を聴いただけで、ぞくぞくとし、そのパワフルな雄叫びに胸がすく思いがして、はるばるジャカルタから聴きに戻ってきた甲斐があった、と感激したものです。
 《ノルマ》の時には、劇的な表現が必要なところでテオドッシュウは、少し頑張り過ぎ、叫ぶような発声になるところがみられたので、このような歌い方をしていると喉に負担がかかりすぎ(上記ふたりのギリシア系先輩のように)歌手生命を短くしてしまうのではないかと一抹の危惧を覚えたものですが、今回は、高音を張るところでもあくまでもカヴァリングによるコントロールができている発声になっていたので、安心しました。

 もうひとつのオダベッラの見せ場、うって変わってレガート唱法の粋をみなければならない、第1幕第1場のロマンツァ『流れる雲の中に...』でも、テオドッシュウは、スタイリッシュでありながら情感にあふれた歌唱を聴かせてくれました。
 それにしても、開幕直後の序幕第1場で、いきなりプリマドンナの最高の見せ場となるカヴァティーナ・カバレッタ形式の大アリアが出てきてしまう、というのは、どういうことなのでしょうか。ヴェルディ先生は後にも《アイーダ》でテノールの見せ場をいきなり冒頭に持ってくる、ということをやっていますので、よほど劇場に遅れてやってくる観客が嫌いだった、ということなのかも知れません。 







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